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15一会|キヤノンEOS R1 & EOS R5 Mark II——2つの個性が被写体と出合う場所
ルーク・オザワさんが語る昼と夜のヒコーキ撮影攻略法
- 提供:
- キヤノンマーケティングジャパン株式会社
2025年6月23日 07:00
EOSを代表するナンバリングである「1」と「5」の最新機が、一期一会の瞬間を確実に捉える必要があるプロの現場でどう活躍するのか。両機を愛用する航空写真家のルーク・オザワさんに、その使い分けを語ってもらった。
1959年2月、東京生まれ。ヒコーキと向き合って半世紀、航空写真の第一人者。風景とヒコーキをシンクロさせた情景的ヒコーキ写真を確立。ラジオ、テレビ、講演など幅広く活躍。生涯飛行搭乗回数は2,380回を越えた。これまで手がけたカレンダーはANAを始め360作に及ぶ。
※本企画は『デジタルカメラマガジン2025年7月号』より転載・加筆したものです。
ルーク・オザワのEOS R1とEOS R5 Mark IIの使用率
光量が少ない夕方から夜の時間帯は、常用最高感度で102400まで設定できるEOS R1を使う。AF性能も最高峰で、暗くても確実にヒコーキを捉えてくれる。一方で、情景としてヒコーキ写真を撮るケースが多い日中の時間帯は、EOS R5 Mark IIがメイン機だ。ヒコーキを点景として添えたり、周囲の風景を緻密に描ける。
キヤノンオンラインショップ参考価格(税込):108万9,000円(ボディ)
●SPECIFICATION
映像エンジン:DIGIC X & DIGIC Accelerator
有効画素数:約2,420万画素
常用感度:ISO 100~102400
最高連写速度:約40コマ/秒(電子)、約12コマ/秒(メカ)
最高シャッター速度:1/64,000秒(電子)、1/8,000秒(メカ)
手ブレ補正:周辺協調制御&5軸対応、中央8.5段、周辺7.5段
動画記録:6K/60p ほか
ファインダー:0.64型約944万ドット約0.9倍
外形寸法(W×H×D):約157.6×149.5×87.3mm
質量(バッテリー・カード含む):約1,115g
EOS R1はカメラグランプリ2025において、選考委員の投票によって選ばれる大賞を受賞している。
キヤノン「カメラグランプリ2025 三冠受賞 御礼」Webページ
キヤノンオンラインショップ参考価格(税込):65万4,500円(ボディ)、80万8,500円(RF24-105L IS USM レンズキット)
●SPECIFICATION
映像エンジン:DIGIC X & DIGIC Accelerator
有効画素数:約4,500万画素
常用感度:ISO 100~51200
最高連写速度:約30コマ/秒(電子)、約12コマ/秒(メカ)
最高シャッター速度:1/32,000秒(電子)、1/8,000秒(メカ)
手ブレ補正:周辺協調制御&5軸対応、中央8.5段、周辺7.5段
動画記録:8K/60p ほか
ファインダー:0.5型約576万ドット約0.76倍
外形寸法(W×H×D):約138.5×101.2×93.5mm
質量(バッテリー・カード含む):約746g
EOS R5 Mark IIはカメラグランプリ2025において、一般ユーザーの投票によって選ばれるあなたが選ぶベストカメラ賞を受賞している。
夕方から夜間にかけての低照度下で躍動するヒコーキの姿を捉える
夕暮れから夜にかけてのメイン機材がEOS R1だ。縦線に加え、横線も検出できるようになったクロスAFに対応した。AF性能は抜群。肉眼では真っ暗な状況でも、飛び去って小さくなっていくヒコーキを、かっちりとロックオンしてくれる。被写体検出の乗り物優先が旅客機も対象となっていて、コックピットを認識してくれるので、ピント位置が旅客機の後方にずれるケースを防げる。
約944万ドットの有機ELパネルを搭載したEVFをのぞけば、暗闇の中のヒコーキを暗視スコープのように高い視認性で捉えられる。これは一眼レフ時代のフラッグシップ機にはなかったメリットだ。
常用最高感度もISO 102400と高く、ニューラルネットワークノイズ低減を組み合わせることで、ISO 64000や102400まで画質の許容範囲が広がるため、動いている機体と背景を止めて写せるなど、表現の幅が拡大した。
POINT 01|クロスAFと被写体検出でヒコーキを確実に捉える
縦線検出に加えて横線検出も可能となったクロスAFに対応。これにより、横に伸びる飛行機雲などの撮影でピントが迷わなくなった。AFが甘くなりがちな低照度下でもしっかりと機能し、離陸する夜の飛行機を後ろから捉えるような難しい条件でも難なくAFが追尾してくれる。
POINT 02|ニューラルネットワークノイズ低減で夜でもクリアに
EOS R1は高感度耐性が高く、ISO 12800程度までは通常のノイズ低減をした画質で十分に精細だ。さらに、ニューラルネットワークノイズ低減を使うと、ISO 102400まで感度を上げてもノイズが目立たず機体のロゴや文字も精細に描けるので、許容できるISO感度設定の上限が大きく向上する。
夜間のヒコーキ撮影で新たな表現を切り拓く
EOS R1を使うのは暗い時間帯なので、組み合わせるレンズも開放F値が明るいものを選ぶことになる。主力となるのがRF70-200mm F2.8 L IS USMとRF100-300mm F2.8 L IS USMだ。開放F2.8という強みに加えて、それぞれ携行性と望遠域の拡大というメリットがあり、目的に応じて使い分けている。
日中によく使うRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMと比較するとやや焦点距離は物足りなくなるが、撮りたい機影に届かないときは、カメラ内アップスケーリングを使った上でトリミングすれば補えるなど、最新機能が手助けしてくれる。レスポンスが良く、夜の撮影で絶対の信頼と安心感があるEOS R1は、限界領域でのヒコーキ写真の可能性を切り拓く、フラッグシップと呼ぶにふさわしいカメラだ。
圧倒的な高画素を生かしてヒコーキのある情景を描き出す
日中にメイン機となるのがEOS R5 Mark IIだ。最大の理由は、画素数が約4,500万画素という点。当初はそこまで必要ないと思っていたが、自宅の27インチ4Kモニターで表示すると、自身の作品でありながらほれぼれとしてしまう表現力があって、その考えを改めた。また、望遠領域の出番が多いヒコーキ撮影で1.6倍クロップを使っても約1,730万画素あるのは、戦略的にも安心。
その上で、ただ高画素機であるだけでなく、被写体検出やトラッキングAFにも対応している点にも注目したい。限界領域ではEOS R1のAF性能に軍配が上がるが、日中のヒコーキ撮影では申し分ない性能だ。
高画素に高速性能も詰め込むとボディが肥大化しそうなところだが、軽量・コンパクトを維持していることも66歳の僕には強い味方。先日も羽田から高松、成田とわたる連続9泊10日の撮影行に携行したが、負担を抑えられた。
POINT 01|風景やクロップに強い約4,500万画素の解像度
高解像を生かせば、四季の情景を迫力たっぷりに描ける。撮影後に自宅のディスプレイで確認したとき、もう一度感動できる画質だ。
また、1.6倍クロップをしても約1,730万画素と十分な画質を得られるので、クロップ機能をFnボタンに割り当ててすぐに使えるようにしている。
POINT 02|カメラ内アップスケーリングでトリミング耐性が高まる
カメラ内アップスケーリングで最大約1億7,900万画素に解像度を引き上げられる。下の写真は、別の狙いで撮影していたときに、偶然ヒコーキと月が重なる瞬間に出合えたときの写真。とっさのことで焦点距離が足りなかったが、アップスケーリング後のトリミングで作品に仕上がった。
高解像度がもたらすのは圧倒的な構図の自由度
EOS R5 Mark IIと組み合わせるのは、RF24-105mm F4 L IS USMとRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMの2本。いずれも広いズームレンジが魅力で、1.6倍クロップも活用すれば、この2本だけで24-800mm相当までカバーできる。ロケーションに応じたフレーミングを選択できるので、四季の情景や空模様と組み合わせた、まさに一期一会の瞬間を最高の構図と画質で描き出せる。
EOS R1で話題に挙げたニューラルネットワークノイズ低減はこのカメラでも使用でき、適用すればISO 32000までは画質を許容できる。これまでの高画素機では考えられなかった設定で、決して夜の動体撮影に弱いカメラではないということも補足しておきたい。次世代の高画素オールラウンダー機として、手に入れておきたい1台だ。
INFORMATION
4名の航空写真家による特別展示「Focus on Flight」を開催中
会場:キヤノンフォトハウス銀座・大阪
会期:2025年5月20日〜8月23日